宅地建物取引士の資格を持って不動産会社に就職している人に読んでほしい内容です。
退職後の契約も重要事項説明書や契約書に、記名押印がなされ契約される可能性があります。
私が勤めている会社の代表のエピソードを紹介します。
退職後に発覚!専任の宅建士として登録されたままだった
不動産会社を立ち上げるため都道府県庁の窓口に、宅地建物取引業の免許の申請をしたら「あなたはまだ〇〇不動産に専任の宅建取引士として登録されています!」と言われたそうです。
会社には必ず専任の宅地建物取引士が必要です。ですから、今のままでは、2重登録することになるので、免許申請ができないわけです。
すぐさま、前職場に行き専任の宅地建物取引士を外してほしい!と強く求めたそうです!
いろいろ話を聞いたところ、退職して〇か月の間、退職したはずの宅地建物取引士の名前を使い、賃貸借契約や売買契約をしたそうです。重要事項説明書の説明は、必ず宅地建物取引士がしなければいけません。さらに、説明をする宅地建物取引士は、宅地建物取引士証をお客様に提示しなければいけません。
と言って、お客様に説明していたんでしょうね。悪質です。
万が一、契約でトラブルが起きた場合は、重要事項説明書と契約書に記名押印された宅地建物取引士も責任を追及されたりします。
今回はトラブルが起きなかったものの、トラブルが起きた場合は最悪の事態を招いた可能性があります!
なぜ変更の届出をしなかったのか
専任の宅地建物取引士が退職した場合は、退職した日から30日以内に、都道府県庁に届出をする必要があります。この届け出のことを「変更の届出」といい、不動産会社が届け出をしなければなりません。
この届出は、専任の宅地建物取引士が退職したので、新しく〇〇さんを我が社の専任の宅地建物取引士として登録します!という内容です。
今回のケース、変更の届出をしなかった理由は、会社に宅地建物取引士がいなかったからです。
会社に2人以上の宅地建物取引士が在籍している場合は、専任の宅地建物取引士が退職しても、もう1人を専任の宅地建物取引士として登録すれば済みます。また、会社の代表者が宅地建物取引士の資格を有していれば、すぐに専任の宅地建物取引士として登録することができたはずです。
しかし、この会社には宅地建物取引士は1人だけ。代表者は宅地建物取引士の資格を持っていなかったんです。
2か月前に退職する旨を伝えていたにもかかわらず、代わりの宅地建物取引士を採用できずにいたんですね。
専任の宅地建物取引士がいないと、営業はできません。営業できないことを避けるために、黙って専任の宅地建物取引士として登録したままにしていたわけです。
会社としては、新しい宅地建物取引士を採用するまで、退職を待ってもらう相談もできたはずです。悪質です。アウトです。
必ず退職前に確認を!
もし、あなたが専任の宅地建物取引士として登録されている場合には、必ず退職の意思を伝えるときに、会社に専任の宅地建物取引士の登録を変更するように、伝えてください。あなたが退職した後も、変更をせずに、あなたの名前で契約をされる可能性があります。トラブルが起きた場合、損するのはあなたです。
とくに、退職して不動産会社を立ち上げる予定の方は注意してください。自分の会社の専任の宅地建物取引士は、あなた自身を登録しますよね。前会社に登録が残っている場合は、変更してもらってから申請しなければいけませんので、時間がかかります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!